生命保険の転換前には生存給付金と転換価格を比較しないと損する危険がある

先日、兄が生命保険の更新時期が近づいたので、新しいタイプの生命保険に転換しました。

生命保険には、医療に関する特約が付帯していることがあり、古い保険だと現在の医療に不向きな場合があります。そこで、契約更新時期になると、医療特約を現在の医療に合わせた新しいタイプの生命保険に転換するようにすすめられることがあります。

医療特約だけを見ると、新しいタイプの方が有利なように見えますが、肝心の死亡時の保障が古い保険よりも不利になることがあるので注意しなければなりません。

生存給付金がゼロになった

兄は、20年間、古い生命保険に加入していて、生存給付金が20万円以上積み立てられていました。この生存給付金は、銀行の定期預金のようなもので、満期になるまで積み立て続けると75万円の終身保険に移行します。

終身保険は、死亡時に受け取れる保険金で、兄の場合は、75歳くらいになると、以降は何歳で死亡しても75万円の保険金がもらえる予定でした。年間約10万円の掛け金で、40年間加入し続けると75万円になるので、総額約40万円の掛け金で+35万円になる計算です。

ところが、新しいタイプの保険に転換すると、終身保険は50万円に減ります。差額25万円は一体どこに消えたのでしょうか?

生存給付金20万円は転換で消えた

新しいタイプの保険に転換する場合、転換のための費用(転換価格)が発生します。その転換価格は、兄の場合、約20万円でした。この金額は、これまで加入してきた生命保険の生存給付金約20万円と一致します。

これまで積み立ててきた生存給付金20万円は、新しいタイプの保険の保険料に充当されたのです。そのため、今後10年間の保険料は、年間2万円ほど安くなるのですが、転換によって将来受け取れる終身保険が25万円少なくなりました。

つまり、転換によって保険料が安くなったように見えるのは、実は、20万円の生存給付金を先払いする形で保険料に充当しただけで、実際には安くなっていないのです。しかも、終身保険金が25万円少なくなるので、将来の備えが当初よりも減ってしまっています。

また10年後には、新しい保険を売り出しているでしょうから、その時に再び転換すると、10年間に蓄えた生存給付金を転換に使われます。すると、さらに終身保険金が減るはずです。10年ごとに転換を繰り返していくと、最終的には終身保険金がもらえなくなるのではないでしょうか?

保険会社のやり口は、結構あくどいですね。

転換には応じない

生命保険の転換をすすめられても、応じない方が良いです。

私は、以前に生命保険の更新時に転換をすすめられましたが、無視して現在の保険を減額更新しました。

減額更新は、死亡保障をこれまでよりも減らして、その分、保険料を減額して更新する方法です。死亡保障だけでなく、医療特約なども減らして更新できます。終身保険金は、変更していません。

先ほど、医療特約が新しくなっていると述べましたが、はっきり言って医療特約(医療保険)は、ほとんどの人が損するだけなので、加入するメリットはほとんどありません。社会人になったばかりで貯金が少ない人だと、ケガで入院した時に備えるために必要なこともありますが、ある程度の貯金ができた時点で医療保険を解約した方が得です。

大した役に立たない医療特約のために転換に応じると、老後の備えを減らすだけです。

保険の内容が、よく理解できない場合には転換に応じず、これまでの保険に加入し続けるか、解約しましょう。

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