住宅ローンを組む際、変動金利だと将来の利率の上昇により返済額が増えるリスクがあるので、少々契約時の利率が高かったとしても固定金利を選択するのが安全です。
そう思って変動金利を避けて固定金利を選んだとしても、契約内容から事実上変動金利と同じ性格を持つ固定金利を選んでしまっているということがあります。一般的に固定期間選択型と呼ばれている金利がそれです。
固定期間が終了すれば変動金利型に移行する
固定期間選択型金利とは、2年、3年、5年など一定期間の金利が固定されているものをいいます。
固定期間が過ぎたら、変動金利型に移行するので、事実上変動金利で住宅ローンを組んだのと同じです。したがって、将来の金利上昇を嫌って変動金利ではなく固定金利を選んだのに、固定期間が過ぎた後は、金利上昇リスクを負うことになります。
仮に金利が年率2%で5年間固定だったとしても、固定期間終了後に金利が3%に上昇していたら、それ以降は3%の利息を払わなければなりません。金利がわずか1ポイント上がっただけでも、毎月の返済額が1割や2割は増加します。下手をすると5割増しになってしまう場合もないとは言えません。
25%ルールが適用されない
また、固定期間選択型の場合、変動金利型のように金利見直し時に25%ルールが適用されません。
25%ルールとは、変動金利でローンを組んだ場合に適用されるルールです。5年ごとに返済額の見直しをし、新たに設定する返済額が前回の返済額の1.25倍を超えないようにするので、大幅に変動金利が上昇しても返済額は25%増しまでに抑えられます。
多くの金融機関では、キャンペーン金利として最初の2年や3年は店頭表示の金利よりも優遇していることがあります。例えば、通常なら2.5%のところ、キャンペーン中なら1.0%で最初の3年間は借りれるといったものです。
とても魅力的なキャンペーンだと思いますが、この優遇された金利を基に返済計画を立てていると、優遇期間が過ぎた時に一気に金利の負担が大きくなるので、返済が苦しくなります。例え、キャンペーン期間中の金利上昇がなかったとしても、1.0%から2.5%に一気に利率が上がるのですから、家計に占める住宅ローンの返済額が大幅に増加するのは容易に想像できるでしょう。
もしも、金利が3.5%や4.0%に上がっていたら、収入の大部分を住宅ローンの返済に回さなければならなくなります。そのようなリスクを背負うのですから、わずかな期間だけ金利が優遇される固定期間選択型を選ぶのには、慎重でなければなりません。
将来、必ず今よりも金利が低くなっているという確固たる見通しがあるのなら、固定期間選択型を選ぶのも良いでしょう。しかし、キャンペーン金利がないのなら、変動金利で借り入れた方が利率が低いので、固定期間選択型を選ぶ利点はないと言えます。
目先の返済額の少なさだけを見て固定期間選択型で住宅ローンを組むと、将来、返済できない危険があります。
そのようなリスクを背負うのであれば、少々金利が高くても、返済期間は利率が変動しない固定金利で借り入れるべきです。
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