銀行などの金融機関と住宅ローンの契約をする時、最初の数年間は金利が優遇されるキャンペーン金利が適用されることがあります。
銀行にとっては、キャンペーン金利を提供することで新規の契約を獲得できるといった狙いがありますが、その他にも、ローン期間に渡って様々な案内を顧客に送れるといった利点があります。その案内の中には、クレジットカードの発行のような便利なサービスもありますが、真の狙いは、外貨預金や投資信託などの金融商品の勧誘だと思ってください。
手数料収入で利益を得る
外貨預金も投資信託も、銀行が取り扱う目的は手数料収入です。
例えば、ドル預金の場合だと、預入時に1ドルにつき1円の手数料がかかり、円に交換するときにも1ドルにつき1円の手数料がかかります。つまり、ドル預金の契約から解約までにかかる手数料は1ドルにつき2円ということです。
仮に現在の為替相場が1ドル=100円だったとすると、ドル預金の手数料は1ドルにつき2円ですから、手数料は2%となります。銀行にすると、とても割の良い収入です。現在のような低金利時代では、企業への貸し出しでは、それほど多くの利息を得ることはできません。住宅ローン金利も、それほど高くありません。
それらと比較すると、ドル預金の手数料は銀行にとってとても魅力的です。しかも、貸付や住宅ローンのように債務者が返済不能になるリスクもありません。
金融商品の利回りと住宅ローン金利を比較する
外貨預金にしろ投資信託にしろ、銀行から勧誘を受けた時には、そこから期待できる運用益、すなわち利回りがどの程度なのかを計算しましょう。
外貨預金であれば利息がつくので、それに為替の変動による利益を上乗せしたのが運用利回りとなります。投資信託であれば、その投資信託が将来どの程度値上がりするかを計算します。
外貨預金も投資信託も、将来の運用益を確実に予測することなんて素人には無理です。最悪の場合、元本割れで損することだってあります。仮に外貨預金も投資信託も期待運用収益を計算できたとして、それと住宅ローン金利のどちらの方が高いかを比較しなければなりません。
住宅ローン金利よりも金融商品の利回りの方が高いのであれば、投資する価値はあります。でも、住宅ローン金利よりも運用利回りが低いのであれば、投資する価値は全くありません。なぜなら、そのような投資に回すお金があるのなら、住宅ローンを繰り上げ返済した方が良いからです。
例えば、100万円分の外貨預金をして1年後に3%の利息が付き103万円になったとします。手数料が2%だったとするとこの投資での儲けは1万円ということになります。つまり運用利回り1%です。これに対して住宅ローン金利が4%だったとしたら、元本100万円を繰り上げ返済すれば4万円の利息負担が減ることになります。
1万円の収入を取るか、4万円の金利の節約を取るか。
どう考えても4万円の金利の節約を選ぶべきでしょう。
しかも、金融商品には損する危険があるのに対して、繰り上げ返済は損をする危険がありませんから、節約の観点からも投資の観点からも、最も効果のあるお金の使い方と言えるのです。
投資に回すお金があったら返済する
このように住宅ローンを抱えている方にとって、金融商品への投資には大した魅力はありません。金融商品の投資に回すお金があったら、住宅ローンの返済に回すのが賢い選択なのです。
住宅ローンの契約をしている銀行の勧誘だけでなく、株式や社債の購入もローンが残っている間は控えるべきです。株式は当たれば大きな利益になりますが、元本が大幅に目減りする危険があります。社債は株式ほど損する危険はありませんが、住宅ローン金利を超える利息を得ることはできないでしょうから、こちらも投資する魅力は大してありません。
住宅ローンだけでなく借金がある方は、金融商品よりも借金の返済をした方が投資の効果も節約の効果も大きいということを知っておきましょう。
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