2015年12月に金融庁が、スーパーのレジなどでも預金を引き出せるように規制緩和する方針であることを発表しました。
早ければ2017年にもスーパーのレジで預金を引き出せるようになるそうです。対象となるキャッシュカードは「J-デビット」に対応しているものです。今までJ-デビットを使ったことがないので、新しくキャッシュカードを作らないとと思っている方も多いと思いますが、基本的にほとんどの銀行の普通預金のキャッシュカードはJ-デビットに対応しています。
それよりもスーパーで販売されている商品が、値上げしないかの方が心配です。
便利になることは費用が掛かること
どんなことでも当てはまりますが、世の中が便利になればなるほど費用が掛かります。
例えばクレジットカード。カード1枚あれば簡単に買い物できますが、年会費がかかりますし、加盟店はカード会社に手数料を支払わなければならないので、その手数料分だけ商品の値段を高く設定します。
ちょっとしたことでも、便利になればその分費用が掛かるのですから、スーパーのレジで預金を引き出せるようになれば、それにかかる費用は商品の売価に転嫁されるはずです。
その代り、レジで預金を引き出した場合には手数料が無料のようなので、ATMで時間外に引き出すよりも便利になりますね。
どのような費用が追加で掛かるか予測してみる
では、スーパーのレジで預金を引き出せるようになると、どのような費用が上乗せされるでしょうか?
少し考えてみましょう。
預金利息が減る
まず、すぐに思いつくのがレジを預金引き出しに対応させる費用です。
レジの変更にかかる費用を銀行が負担してくれるのなら、スーパーでは追加の費用負担がないので商品価格が高くなることはなさそうです。しかし、銀行が費用を負担するのなら、預金利息が今以上に低くなる可能性があります。
現金を余分に保管する費用が掛かる
レジで預金を引き出せるようになると、スーパーは今まで以上にレジに現金を保管しておかなければならなくなります。
したがって、スーパーはレジで保管している金額だけ銀行に現金を預けられなくなるので、預金利息が減ってしまいます。また、現金仕入を行っているスーパーであれば、仕入に必要な現金までレジで保管しなければならなくなるため、現金仕入による値引き効果が減ってしまいます。
警備員を増やす
スーパーのレジで預金を引き出せるようになると、今までよりも多くの現金がスーパーに保管されます。
そうすると、これまで以上に防犯に力を入れなければならないので、警備員を雇ったり、防犯カメラを追加で設置するなどの対応をしなければなりません。
他にも考えれば、いろいろと出てきそうですが、ちょっと考えただけでこれだけの追加費用が掛かることがわかりました。おそらく、スーパーのレジで預金を引き出せるようになれば、今よりも小売価格が高くなりそうです。
現金払いでもレジがそれほど混むとは思えない
クレジットカード、電子マネー、デビットカードを使う利点として、レジでの決済が速くなるといった点が挙げられます。
でも、これって本当なのでしょうか?
スーパーのレジで並んでいることを想像してください。
自分の前には5人並んでいるとしましょう。1人当たり2分かかるとすると、自分がレジの前に来るのに10分かかります。
では、この2分という時間のうち、お金のやり取りをしている時間はどれくらいでしょうか?おそらく10秒から20秒程度でしょう。したがって、現金払いだったとしても、現金払いによる時間のロスは50秒から100秒です。
つまり、レジで並んでいる時間の大部分は、商品のバーコードを読み取るための時間なのです。
仮に前に並んでいる5人がクレジットカードや電子マネーを使ったとしても、10秒程度は時間がかかるのですから、現金払いからカードに替えても大した時間の節約にはなりません。
わずかな時間の節約のためにクレジットカードや電子マネーを積極的に使う必要はないでしょう。クレジットカードは2枚も持っていれば十分です。
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