医療保険に加入できなかった人はラッキーと考えよう

先日、身内が持病があることを理由に医療保険の加入を断られました。

医療保険に加入できないと、万が一の病気や怪我で高額な治療費が請求された時に不安だと思うかもしれません。特に持病を持っている人や高齢者だと、その不安は大きいと思います。

でも、医療保険に加入できなかったことは、むしろラッキーです。なぜなら、医療保険に加入しても、支払った保険料以上に保険金を受け取ることはほぼ不可能だからです。

高額療養費制度を知っておく

医療保険に加入するかを検討する前に、まずは高額療養費制度を知っておく必要があります。

高額療養費制度を簡単に説明すると、所得に応じて1ヶ月の医療費の上限が定められているというものです。多くの世帯では、1ヶ月の医療費の上限は10万円を少し超える程度で済みます。健康保険の3割負担で100万円以上の医療費がかかったとしても、1ヶ月の医療費の上限は10万円そこそこしか負担する必要はありません。

だから、一般的な家庭であれば、医療保険に加入しなくても貯金で治療代を賄うことはそんなに難しくはないのです。

特に高齢者になると、医療費の上限額は現役世代よりも下がるので、なおさら医療保険の必要性は低くなります。ほとんどの高齢者は、1ヶ月の医療費の上限額が10万円未満です。

医療保険の保険料はいくらか

次に医療保険に加入すると、どれくらいの保険料がかかるかを見ていきましょう。

医療保険の保険料は、グーグルで検索すれば、シミュレーションできるサービスがいくつもヒットしますから、それらの中からどれかにアクセスして自分の年齢を入力して月額保険料がいくらになるかを確かめると良いです。

例えば、入院日額5千円、通院日額3千円、手術保険金10万円が給付される医療保険だと、年代別の保険料の年額は概ね以下の金額です。

  • 20代=2万円前後
  • 30代=2万8千円前後
  • 40代=4万円前後
  • 50代=5万5千円前後
  • 60代=7万6千円前後
  • 70代=10万6千円前後

 

20代や30代の方だと、手術と10日の入院で15万円の給付金が支給されるので、負担した保険料に見合う保障と思えます。

しかし、40代以上になると、年間の保険料が4万円を超えてきますから、病気や怪我で1回入院したくらいでは元を取ることはできません。短期間に異なる病気の治療を受けたり、何度も交通事故に遭うような不運が続けば多くの保険金を受け取れますが、そのようなことが起こる確率は極めて低いです。

また、保障の通算限度日数は1,000日の医療保険が多いですが、1入院の年間保障日数が60日までの場合がほとんどです。そのため、長期間の入院となった場合でも、1入院で年間30万円までしか入院保険金を受け取ることはできません

10年に1回、60日以上の入院をしても、保険料の元を回収できる保険金の給付を受けるのは厳しいのですから、絶対に医療保険に加入した方が良いと言えるだけの積極的な理由は見当たりません。

 

持病があって定期的に通院するようなことになれば通院給付金をもらえると思う方もいるでしょうが、通院給付金は基本的に入院を伴う治療を受けた場合が対象ですから、薬をもらう程度では保険金をもらえません。

薬

このように保障内容と保険料を簡単に見ただけでも、医療保険は割に合わない保険だとわかると思います。

医療費は貯金で備える

就職して間もない若い方は、大した貯金がないでしょうから、病気や怪我に備えて医療保険に加入する意義はあります。

しかし、30歳を過ぎれば、それなりに貯蓄があるでしょうから、医療保険に入らなくても治療代は預貯金でなんとかなります。また、毎年3万円ずつ30年間貯金すれば90万円貯まっていますから、それを老後の医療費として残しておくだけでも、高額療養費制度があるので医療費を賄うのに十分です。

年をとればとるほど、医療保険の保険料は上がっていきますが、もらえる保険金は変わりません。

70代だと年間10万円も、医療保険の保険料を支払うことになります。10万円の元を取るには年間20日の入院が必要です。年間20日の入院に備えるための医療保険であれば、10万円を毎年貯金すれば問題ないですよね。

 

最近では、実際にかかった医療費を保障してくれる医療保険もありますが、健康保険の自己負担部分を支給してくれるなら役に立ちそうですが、高額療養費制度の医療費の上限額までしか保険金を受け取れないのなら、あまりメリットがありません。なぜなら、70歳以上の方の1ヶ月の医療費の上限額は6万円弱だからです。

医療保険は定期保険にしておく

これから医療保険に入ろうと考えている方は、終身保険ではなく5年や10年など期間のある定期保険に加入することをおすすめします。

定期保険であれば、契約期間の終了が近づくと保険会社から更新の案内が来ます。更新した場合の保険料が今よりもどれだけ上がるのかも保険会社が案内してくれるので、更新すべきかどうかの判断材料となります。

しかし、終身保険だと、何も考えず毎月保険料を払い続けるので、定期的に保険の見直しをする機会がやって来ません。気づいたら何十年も医療保険を継続し、保険料総額が200万円を超えていたということもあるでしょう。

 

今、医療保険の加入を検討している方は、定期保険にしておくのが無難です。そして、満期になったら、すっぱりと解約した方が保険料の節約になるはずです。

老後の病気に備えて医療保険に入っておいた方が良いのではないかと思っている方は、毎月個人向け国債を買って老後に備えることを検討してください。

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